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建設キャリアアップシステムとは
建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System、略称CCUS)は、技能者の資格や現場での就業履歴等を登録、蓄積することで、技能、経験を客観的に評価できるようにし、技能者の待遇改善、働き方改革につなげることを目的に導入されました。
具体的には、建設キャリアアップカード(CCUS カード)を技能者一人一人に発行し、保有資格などの情報を登録し、技能者が現場で働く際に現場に設置されたカードリーダーにタッチすることで就業履歴等を記録します。技能者の技術力と経験に応じて、レベルアップできるようにし、どの現場や会社で働くにしても、それぞれのレベルに応じた待遇を受けられるようにする仕組みです。
技能者は、能力評価制度により、「レベル1初級技術者(見習い)→レベル2中堅技術者(一人前)→レベル3職長レベル→レベル4高度マネジメント能力者」へとキャリアアップしていきます。
CCUS カードもレベルに応じて、白、青、銀、金へと変わります。年収もレベルに応じて上昇することが想定されており、すでに大手ゼネコンなどを中心に、金カード所有者などを対象に、手当を支給する動きも出ています。
CCUS は、事業者にも事務作業効率化などのメリットがあります
具体的には、建退共制度の電子申請方式とCCUS の就業履歴のデータ連携により建退共事務の効率化を図ることができます。また、元請け企業は下請け企業の作業員が社会保険に加入しているかどうかの確認を徹底するように求められていますが、CCUS の登録情報を活用することにより、確認や現場管理を効率化できるようになります。
さらに、経営事項審査においても、レベル3以上に達した者を雇用している場合は、技術職員(Z)評点付与の対象となりますし、技能レベルの向上者数によっては、社会性評価点(W)の加点評価にもつながります。
また、CCUS と連動した専門工事企業の施工能力等の見える化制度も導入されつつあります。
このように、CCUS は、2024年以降の働き方改革と合わせて、建設業に大きな変革をもたらす可能性があります。
CCUS はどういう建設会社が導入しているのか?
CCUS は、国土交通省が導入推進を図っており、まず、公共工事の現場で導入が進められました。そのため、公共工事を直接請け負う大手ゼネコンが導入を進め、下請け企業へと波及しています。
こうした関係から、元請企業からCCUS カードを取得するように求められたことをきっかけに導入する建設会社が多いようです。
また、技能実習生や特定技能等の外国人労働者を受け入れるためにも、CCUS への登録が必要です。
CCUS の登録はどのようにしたらよいのか?
建設業者がCCUS 登録を行う場合は、2 種類の登録作業を行う必要があります。
- 事業者登録
建設業者自身の登録です。会社であれば会社としての登録。個人事業主であれば個人事業主として登録を行います。 - 技能者登録
建設業者に所属する技能者の登録です。技能者一人一人にCCUS カードを渡すための登録作業です。
登録方法は、CCUS のHP からインターネットで行う方法(https://www.ccus.jp/)と、認定登録機関と呼ばれる窓口で書面により申請する方法があります。
事業者登録
事業者登録は、建設業者の情報を登録することです。株式会社などの法人のほか、個人事業主、一人親方が登録できます。登録に当たっては、入力情報の確認のために、次のような書類が必要になります。
① 事業者証明書類
建設業許可がある場合
建設業許可通知書又は建設業許可証明書
(建設業許可番号から資本金などの建設業許可データを参照)
建設業許可がない場合
法人
事業税の確定申告書または納税証明書+履歴事項全部証明書(資本金が確認できるもの)
個人事業主と一人親方
納税証明書、所得税の確定申告書、個人事業の開始届のうちの1つ
② 加入社会保険等証明書類
- 健康保険加入証明書類
- 年金保険加入証明書類
- 雇用保険加入証明書類
- 建退共・中退共加入証明書類
- その他(労災保険特別加入など)証明書類
事業者登録料は、資本金に応じた額が設定されています。
- 一人親方
- 0円(無料)
- 一人親方以外の個人事業主
- 6,000円
- 500万未満
- 6,000円
- 500万円以上1,000万円未満
- 12,000円
- 1,000万円以上2,000万円未満
- 24,000円
- 2,000万円以上5,000万円未満
- 48,000円
- 5,000万円以上1億円未満
- 48,000円
- 1億円以上3億円未満
- 120,000円
- 3億円以上10億円未満
- 240,000円
- 10億円以上50億円未満
- 480,000円
- 50億円以上100億円未満
- 600,000円
- 100億円以上500億円未満
- 1,200,000円
- 500億円以上
- 2,400,000円
事業者登録は、5 年ごとに更新されるため、5 年ごとに上記の額の登録料(=更新料)の支払いが発生します。事業者登録が行われると管理者ID が発行されます。
管理者IDは、一つの管理者IDごとに利用料が年間11,400円かかります。(一人親方は2,400円)
技能者登録
技能者登録は、建設業者に所属する技能者一人一人を登録することです。一人親方の場合も事業者登録とは別に技能者登録が必要になるので注意してください。
技能者登録でも、入力情報の確認のために、次のような書類が必要になります。
- 本人確認書類
運転免許証、マイナンバーカード(顔写真付証明書類) - 加入社会保険等証明書類
健康保険、年金保険、雇用保険、退職金制度、労災特別加入などの証明書類 - 保有資格証明書類等
登録基幹技能者、保有資格、研修受講、表彰などの証明書類 - 建設キャリアアップカード用顔写真
なお、技能者登録は、簡略型登録と詳細型登録の二つのタイプがあります。
「簡略型登録」は、氏名や現住所、社会保険、建退共制度への加入の有無などの情報だけを登録するもので、登録料は2,500円と割安になっています。一方、「詳細型登録」は、上記に加え、技能者のレベル判定システムに必要な保有資格や健康診断の受診履歴なども登録するもので、登録料は4,900円と割高です。CCUS カードが必要な場合は、詳細型登録が求められることが多いようです。どのタイプが必要なのか迷ったら、詳細型登録を選んだ方が無難です。
事業者、技能者ID発行までの処理期間
- 事業者登録
申請から事業者IDが発行までに、登録料の支払い後、約2週間かかります。 - 技能者登録
申請からカード発行までに、登録料の支払い後、技能者ID発行で約2週間、その後カードが届くまでにさらに1週間程度を要します。
CCUS 登録行政書士
CCUS 登録行政書士に代行申請を依頼する際は、行政書士から渡される代行申請同意書へ署名していただき、添付書類などをお渡しいただくだけです。
あとはすべて、行政書士が作業を行いますから、事業者、技能者IDが発行されるのを待つだけです。
弊所もCCUS 登録行政書士ですので、お気軽にご相談、お問い合わせください。
取扱業務
- 建設業許可 新規申請
- 建設業許可 更新申請
- 経営事項審査
- 入札参加資格申請
- 建設キャリアアップシステム
- 産業廃棄物収集運搬業許可
- 宅建業免許
- 解体工事業登録
- 電気工事業登録
- 建築士事務所登録
- 指定給水装置工事事業者指定申請
- 会社設立関係
弊所は、東京都葛飾区を中心に足立区、江戸川区、埼玉県草加市などの建設業に特化した行政書士事務所です。建設業許可申請、更新申請などの関連手続きを承っています。そのほか、経営事項審査、入札参加資格申請、建設キャリアアップシステム(CCUS)、産業廃棄物収集運搬業許可、宅建業免許(宅地建物取引業)、解体工事業登録、電気工事業登録、建築士事務所登録、指定給水装置工事事業者指定申請、会社設立関係の申請手続きを代行いたします。